センターによる解決2:助言


2つめは私たちの処理で一番多い「助言」の流れを書いてみます。
どれも良くある例です、
(本当はもっと色々根掘り葉掘り聞き取って、助言も複雑ですが簡略に)


注意:ここで書いてみたのは簡略した例であって、
相談内容がほんのわずかでも違えば全く異なる対応にもなります。
センターや相談員によっても少しづつ異なります。


ネット通販による商品購入

消費者「ネット通販で代引きで買った商品が壊れていました。
    お店に苦情を言っても”配達業者の扱いが悪かったんだろう”
    ”HPには返品できるとは書いてない”と
    返品に応じてくれません。クーリングオフできませんか」
相談員「通販はクーリングオフできません。
    でも、例え配達業者が壊したとしてもお店の責任です、
    一旦期間を定めて壊れていない商品との交換か修理を求め
    それがなければ解除し返金も要求できます。
    また返品不可の記載がなければ返品可能と考えていますし、
    特定商取引法の改正もあるので…。
    相手が応じなければまた連絡を下さい。
    あ、これはモールに入っている店舗ですか?…(続く)」


数時間後。
消費者「消費生活センターから言われたことをお店に言ったところ、
    交換になりました。ありがとうございました」


・このように、相談を受けてもまず自主交渉が基本
 (自主交渉能力がない、特定の業者などはすぐセンターが斡旋することも)
文章には書いていませんが、いつも助言の前に契約書等を見せてもらいます
 (紛失すれば取り寄せてもらいます。契約内容を知るため非常に重要です)
・情報収集の機関を紹介することも多いです。
・特に技術的な相談は関係機関を紹介します
・業界団体を紹介することもあります(そのメリットもいつか後述)
・この後、センターが入るべきと判断された相談は斡旋交渉に。


■その他事例


店舗販売による中古車の購入

消費者「昨日中古車を店で注文して、今朝キャンセルしたいと言ったら
    高いキャンセル料を請求されました。
    クレジットも組まなかったし。支払う必要があるのでしょうか」
相談員「自動車以外のお店での買い物はキャンセルは難しいですが、
    自動車は少し特殊です。
    中古自動車販売連合会に加盟で、クレジットを組んでいない場合は、
    自動車の引渡し、登録、(特に頼んだ)修理改造などがまだなら、
    契約は成立していません。申し込みはキャンセルできますよ。
    「原則」としてキャンセル料は不要と考えています。
    中古自動車販売連合会の電話番号をお伝えします。
    ただし、加盟していない店の場合は異なるので、
    また折り返し連絡を」


電話勧誘による書籍の購入

消費者「一ヶ月前に突然電話が来て、本を買えと言われました。
    怖くて曖昧な返事をして切ったのですが、
    昨日本と契約書のようなものが届きました。
    放置していていいですよね」
相談員「(詳しく聞き取った後)契約が成立しているか微妙ですが、
    言った言わないの話になりますね…。
    相手はもう個人情報も知っているので
    後々のことを考えると、
    クーリングオフ通知の葉書を出した方が無難です。
    クーリングオフは問答無用の解除なので」
消費者「でも私は承諾してないですよ」
相談員「だったら、契約承諾の意思表示をしていない、
    もし契約が成立していたとしてもクーリングオフ
    をする、と併記してはどうでしょうか。」
消費者「相手がクーリングオフに応じなければどうしたら」
相談員「その時はセンターが間に入ります。
    まず届いた書面をfaxして下さい。通知の書き方をお伝えしますね」


SF商法による購入契約

消費者「(高齢女性の声)なんとかセンターかね?
    家に洗剤やタオルをもって来た男の人が、近くの倉庫で…。」
相談員「(聞き取りでSF商法と判断)
    おばあちゃん、もうその機械は返したいの?
消費者「払えないから返したい。でも悪いかのう…」
相談員「その時はゆっくり考える余裕がなかったでしょ?
    だからそんな時はクーリングオフといって8日以内なら
    返品ができるの。」
消費者「返せるなら返したいのう…。どうしたらいいんじゃ?」
相談員「おばあちゃんはお子さんは?」
消費者「1人じゃよ。」
相談員「だったら近くの役場に行けますか。先に電話をしておくね。
    また後で電話しますね」


相談員「お世話になります。○○役場市民課(役場によって部署は異なる)
    お願いします。担当の方ですか。高齢の住民の方が…」
担当者「わかりました。私からもよく聞き取ります。
    ご本人がクーリングオフの葉書を書かれたらまた連絡します」


知人からの投資の勧誘

消費者「お世話になった方から投資をすすめれました。
    通帳を見せられたら毎月○万円も振り込みが。
    確実に収益があり毎月○万円以上振込みが続くと。
    でも不安です。
    この会社には他に相談はありませんか。信用できるでしょうか」
相談員「(うわ、ここヤバイよ。関わったら大変だよ!)
    投資の内容は把握してますか?
    この業者の相談の有無は守秘義務上お伝えできませんし、
    また、いわゆる業者の信用性の調査はしていませんが…。
    お話を聞いている限り出資法違反の可能性が高いです。
    金融商品を扱う業者として無登録の可能性もあります。
    (財務事務所などを案内)
    また”確実に儲かる”という説明があれば、
    消費者契約法上の取消が可能な違法行為です。
    それでも信用しますか。
    また投資商法被害の場合、お金が取り戻せなくなってはじめて
    詐欺とされれ、実際上泣き寝入りになるることも多いです。
    (特にマークしている業者の場合、問題点を理解してもらうまで繰り返す)
    私たちはするな、と言える立場にはありません。
    よく考えて判断して下さい。(FAXで資料も送る)」


注意:ここで書いてみたのは一例であって、
相談内容がほんのわずかでも違えば全く異なる対応にもなります。
センターや相談員によっても少しづつ異なります。